新台入替

パチンカー(笑)にとってのイベント、新台入替である。多くの場合はシマ(本来通路と通路の間のパチンコ機を取付ける部分をいうのだが、最近では通路をはさんで片側一列のことをいうようになった)にして1〜4シマの台を新しい台に変えることが多い。パチンコ店にしてみれば、入れ替えた台にお客さんがついてどんどん金をつかって欲しいわけだから、「この台はおもしろい!!」と思わせるために、新台を入れたときには良く出るようにして、「出る台・勝てる台」というイメージを作るわけだ。お客のほうもそれを知っているので、新台入れ替えの時には、お客のほとんど全員がパチンコ屋に集合する。

まあ当然こんなおいしい機会を人間のクズたちが見逃すわけもなく、「開店プロ」と呼ばれる連中も出現する。多くの場合は開店プロはグループを組んでおり、パチンコメーカやパチンコ店内部からの情報を元に一人二人で開店数時間前からパチンコ屋に並び、開店と同時に数台を確保する。その台をあとから来たメンバーに渡して、全員で荒稼ぎし、通常営業になったらまたほかの店の新台入替に出かけるといった具合。

当然店からしても常連客からしても迷惑な連中なのだが、その筋の人間(というイメージ)から表立って文句はいえないのが普通。よって店側も自衛策として、入れ替え日には整理券を配ったり(一人が複数の台を押さえれないようにする)全くの平常営業日になんの告知もせずに新台を入れ替えたりしている。

で、この入れ替えにも数種類のレベルがあるのだ。

  1. 平常営業での入れ替え
    開店プロの多い地域や、逆に常連客がほとんどのパチンコ屋以外ではあまり見かけないスタイルだ。出方もまあそれなりにといったところ。

  2. 12時〜1時開店
    1〜2シマだけ入れ替えるようなときに多い。

  3. 3時〜5時開店
    12時〜1時開店よりは気合いの入った開店だが、あまり見かけない。

  4. 6〜7時開店
    一番多いパターン。3〜4時間のことなので、結構思い切った出し方が出来るうえに、(店側としてもたとえ予想以上に出てしまったとしても、痛手は少ない。)普通の勤め人も参加できる時間なので、入れ替えでは一番お祭り騒ぎになりやすい。

  5. 新規開店
    全く新しい店が出来た時もしくは全面的な改装を行ったとき。これは今後数年〜数十年の稼ぎにかかわることなので、店側の気合いもけた違いになる。通常短くて3日、平均一週間はお祭り騒ぎが続く。

私が店側の人間として経験したのは、「7時開店・デジパチ2シマ入れ替え」だった。通常新台入替は、公休日(なぜかこう言う。よく店に「組合の申し合わせにより、本日公休日」とか看板が立っているが、組合なぞ存在するはずがない。)の次の日になるのだが、前前日の閉店後に店員全員に招集がかけられて、全員で入れ替えのお手伝いをする。

夜11時過ぎ、入れ替える台を一斉にシマから取り外す。その作業が終わった頃、幌を張った大型トラックが到着し、そこから段ボールで保護されたパチンコ台が運び出される。店員軍団もそれを手伝い、シマに取り付けてゆく。人が多いせいか1時間もかからずに終了。ぴかぴかの新台に美しさすら感じながら(バカ)軍手をはめて、ガラスを入れてゆく。(ガラスのサイズはメーカや枠の種類によって微妙に違う。)2重ガラスが一体化されたものもあるが、この時は当時としてはオーソドックスな強化ガラスを2枚入れるタイプのものだった。

電源関係をつないで、一応の動作チェック。チャッカーにゲージ棒をつっこみながら、センターの始動チャッカーに玉を入れると強制的に大当たりになるという、その当時にはありがちな機構を使って大当たりになるか確認。必ず大当たりになる様は感動的であった。(バカ)で、肝心の釘調整は、メーカの人間とオーナで公休日にやるので、その日はそこで解散。子供だましに缶コーヒーが振る舞われて終わり。うーん、そのあとに興味があったのだけど・・・・・

で、開店当日。いるわいるわ、よく見るおばさんに全然見ない強面のおっちゃん、みんな泥棒の顔をしている。(笑)開店が近づき、仲本さんが入り口のガラス戸のロックを外すと、一気にテンションが上がり、全員ドアへ体重をかける。もちろんそれに負けないよう2人がかりでガラス戸を押さえているのだが、気分は百姓一揆におそわれる商人である。獣の目をした泥棒達は、視点すらあっていない。

いよいよ開店合図の音楽がなる。と同時にドアを開放し、すぐ2〜2歩逃げないと、怒濤のごとくなだれ込んでくる泥棒達の巻き添えを食ってしまう。「君はスペアのライターをいくつ持っているのかなあ?」とつっこみたくなるような見事な先頭軍団の台押さえで、あっという間に新台が埋まる。何を血迷ったか先頭軍団に並んでいたのに、わざわざお気に入りの古い台を打ち始めるおっちゃんもいたが・・・(まあ、昔の新台入替は新台以外もよく出すということが、ままあったので、そのなごりかもしれないが、最近では全くと言っていいほどそういうことはなくなった。)その後数分で全ての台に人が座り、打ち出す。この時点で両替やカードを買いに行っているのは素人で、なれた人々は既に前前日に済ましてあるものなのだ。なんせ営業時間が短いのだから、少しのタイムロスでももったいないのである<泥棒。

まあ、デジパチなのでいくら釘が良くても全員がすぐに大当たりするわけではないが、(逆にそうなったら、開店用基板である確率が高い。)それでもぼちぼち大当たりが来はじめ、店員は大忙しになる。釘調整もまだこなれてないから、玉がかりも多く発生するし、他のシマも営業しているのだから大変だ。そのうち時間がたち、9時頃には一度閉店時間をアナウンスする。もし予想より出しすぎてしまった場合は、閉店時間を繰り上げるわけだな。この時はいつもより30分だけ早い10時の閉店となった。

閉店の合図の「蛍光灯半消し&蛍の光」攻撃にもめげず、1回でも多く回そうとする「新台入替なのにこの成果は納得できない組」を台から引き剥がし、終了清掃をする。たった3時間でも新台は手垢とタバコの吸い殻まみれになっていて、少し悲しい。(バカ)新台はほぼ全台釘調整をするので、ガラスを開けた状態にして帰る。このあとオーナがデータを見ながら(少しだけ)釘をいじるのだろうが、疲れでどうでも良くなっている私は、とっとと帰ってしまった。


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