釘師

確かに昔は、腕とハンマ1本の釘師という職業が存在していたのだが、現在ではほとんどいなくなってしまった。では誰が釘調整を行うかというと、その店のオーナや店長だったり、メーカの人間だったりするわけだな。釘師というとゲージ棒を片手に真剣な眼差しでコンマ何ミリの釘調整をしてゆくというイメージがあるのだが、実際はそれほど大したことをやっているわけではない。(少なくとも平常営業時の釘調整は)。まあ、店の方針とか釘をいじる人の趣味で、事細かに釘をいじる人がいないわけではないんだが、勤めていたパチ屋は他の多くの店と同じく、釘をほとんどいじらない店だった。

一般的に一番釘調整の結果が出るハネ物の釘調整を例に取ってみると、ちょっと釘を見る人なら、上から左逆ハカマのネカセや一本釘、風車の位置、ハカマ上の2本釘、ハカマの1本目、ハカマの左の3・4本目、1チャッカーの命釘、2チャッカーの寄り釘、2チャッカーの命釘・・・とまあ、いろいろな部分が出玉に影響する事を知っているわけだ。で、打ち手は勝手に「釘師は打ち手の気づかない部分を微妙に変えて、出玉を調整しているに違いない。」と思い込む訳なんだが、もうそういう時代ではないのだ。(笑)

最近は当たり前のようにデータコンピュータが導入されているので、「この台は何パーセントの稼働率で、入玉と出玉の比率がどのくらいで、何回大当たりが来て何回打ち止めになったか。」というデータが簡単にプリントアウトできるわけだ。だから台を入れ替えた直後ならいざ知らず、通常営業では、「この台もう少し出そう」と思った台だけを調整する。よってハネ物で30台に1台、デジパチで10台に1台くらいしか釘を変えたりしないのだ。デジパチなどは特に、同じ釘でも機械が勝手に「波」を作り出してくれるので、釘調整なしに昨日の優秀台が今日のクズ台と言うこともあり得るわけだ。

2チャッカーさらにいじる台でも、調整箇所は1カ所のみ。ハネ物では2チャッカーの命釘を、デジパチではスタートチャッカーの命釘を動かして、「はいおしまい」。一台に1分かからない。例えばハネ物の2チャッカーは、左ような釘の並びになっている訳なんだけど、赤い2本が「命釘」、黄色と青が「寄せ釘」とか「誘導釘」とか呼ばれている物だ。で、これをよく入るように調整するためには、大きく分けて以下の3つの方法がある訳なんだな。

2チャッカー 2チャッカー 2チャッカー
命釘近い寄り釘遠い寄り釘


で、命釘を調整した場合の効果を100とすると、ざっと計算して近いより釘はその半分の効果、遠い寄り釘はそのまたさらに半分の効果になるわけだ。だから、釘を見て「寄り釘がよくなった」とか思うのはほとんどの場合「目の錯覚」で、そんな調整しても効果の少ないところを、ルーチンワークとして釘を調整している釘師がいじるわけがないのだ。


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